婦人科

主な婦人科疾患

月経不順・無月経

正常な月経周期は25日~38日です。これより月経周期が短くても長くても月経不順ということになります。月経が全く無い状態が3ヶ月以上続いたら無月経です。月経不順や無月経の原因は、ストレス・冷え・急激な体重の増減など様々です。たまに月経が2週間程度遅れることがあるという程度であれば、規則正しい生活を心がけていれば問題ありません。月経が月に2回以上来る事が続いたり、月経周期が毎回60日以上あく場合は、早めに受診することをお勧めします。
月経不順の治療は、卵巣の働きの程度に合わせて、ホルモン療法を行ったり、漢方薬服用で様子を見たり、ピルでホルモンバランスを整えたりします。

不正出血

不正出血とは
ホルモンの異常や様々な病気により月経以外に性器から出血することを不正性器出血といいます。新しい血液は赤いですが、古い血液は茶色や黒色、わずかな出血では黄色のこともあります。排卵期に起こる中間期出血など病気ではないものもありますが、なかには重大な病気の症状のこともあるので注意してください。

不正出血を起こす原因は
①炎症によるもの
病原菌(クラミジア、淋菌など)の感染による炎症、萎縮性腟炎など

②ホルモン異常によるもの
ホルモンバランスのくずれ、月経異常など

③良性の腫瘍
子宮頸部や内膜のポリープ、子宮筋腫など

④子宮腟部びらん(子宮の入口のただれ)
若い女性では一般的に見られる状態ですので、病気とはいえませんが子宮頸がんの初期のこともありますので注意が必要です。

⑤悪性の腫瘍
子宮頸がん、子宮体がん、卵巣腫瘍、子宮肉腫、腟がんなど

⑥妊娠に関連するもの
切迫流産、流産、子宮外妊娠など

不正性器出血では重大な病気が隠れていることもあります。是非、婦人科を受診して検査を受けてください。疑われる病気によって検査は様々です。また、一度の検査で異常が見つからなくても、不正出血を繰り返すときはごく初期の病気が潜んでいることもあり、検査を繰り返したり、以前の状態との違いを比較することで診断できることもあります。

月経痛・月経困難症

月経時に出る下腹部痛や腰痛が月経痛です。痛みが強くて日常生活に支障をきたしたり、吐き気や頭痛や下痢などの症状も伴っている場合は月経困難」といいます。毎回痛み止めを1日に何回も飲むような状態、痛み止めを飲んでも効かない場合は治療の対象になります。特に、痛みが年々ひどくなっていっている場合は子宮内膜症などの病気について検査をしておいた方がいいでしょう。
月経痛の原因は子宮内膜症や子宮筋腫などの病気によるものと、冷えや血行不良などの体質によるものとに分けられます。症状が軽ければ漢方と痛み止めで様子を見ることもありますが、ひどい場合は低用量ピルで月経を軽くする方法が有効です。特に、子宮内膜症による痛みの場合は様子を見ずにホルモン療法などの治療をしておくことをお勧めします。

月経前症候群(PMS)

排卵後から月経直前までの期間に、心身の不調が出る病気です。
症状が出るタイミングは月経前10日からという人もいれば直前の1~2日だけという人もいます。症状も、頭痛・めまい・むくみ・下腹部痛・腰痛といった体の症状や、イライラ・気分の落ち込み・集中力の低下・突然涙が止まらなくなる・過食といった心の症状まで様々です。PMSの原因は、排卵後に増える黄体ホルモンではないかといわれていますが、それ以外にもストレスなどが症状悪化の原因になります。
治療の基本はカウンセリングと生活改善です。また低用量ピルが非常によく効きます。漢方薬が有効な場合もありますし、抗不安薬や抗うつ薬が必要な場合もあります。

更年期障害

閉経時期(平均は50~53歳)の前後10年を「更年期」といって、ホルモンのバランスが崩れやすく、のぼせ・ほてり・イライラ・不正出血などの症状が出やすくなります。これらの症状を「更年期症状」といいますが、症状がひどくて日常生活に支障を来たす場合を「更年期障害」といって治療の対象になります。
更年期障害かどうかは、発症時期と血液検査でホルモンを調べればある程度分かります。女性ホルモンはまだそんなに低下していないのに更年期症状が強く出る方もいますので、数値よりも自覚症状の強さによって治療を検討した方がいいでしょう。
治療の基本はホルモン補充療法(HRT)になります。子宮がある人はエストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンを、子宮を手術などで摘出した人はエストロゲンの1種類だけを補います。
ホルモン補充療法の他は、漢方薬服用も有効です。

おりものの異常、外陰部のかゆみ

多くの場合、腟の炎症や子宮頚管炎が原因で症状が出ることが多いです。
細菌、カンジダ、クラミジア、トリコモナス、マイコプラズマなどの感染で起こります。腟のおりもの、子宮の入り口の粘液などで検査します。
結果を確認したうえで、それぞれに対する薬の治療をします。

子宮筋腫

子宮の筋肉の壁にできる良性の腫瘍です。小さいものも含めると、30歳以上の女性の3人に1人は筋腫があります。症状が全くなく、それほど大きくないものでしたら治療は必要ありません。半年に1回くらいの頻度で超音波検査を受けて大きさをチェックしておけば安心です。
月経量が多い方や月経痛がひどくなる原因となっているようでしたら治療が必要です。また、大きさが10センチを越えたり、大きすぎて圧迫による症状が出ている場合も治療の対象になります。
治療は手術療法と薬物療法があります。手術の場合、筋腫のコブだけをとる方法と子宮全体をとる方法がありますが、どのような治療を行うかは筋腫の場所や大きさ・年齢・妊娠の希望の有無によって異なってきます。薬物療法の場合、低用量ピルで出血量を減らしたり、月経を止める偽閉経療法を行ったりします。

子宮内膜症

子宮内膜が卵巣、子宮や腸の表面にできる病気です。子宮内膜は月経のたびに出血するので、卵巣の中やおなかの中に古い血液がたまってしまいます。卵巣に内膜症ができると、内膜症性のう胞(チョコレートのう腫)になります。内膜症が子宮の筋層にできたものが子宮腺筋症です。
内膜症の主な症状は月経痛です。特に、痛みが年々ひどくなっていく場合は、内膜症の可能性がないかきちんと調べる必要があります。子宮腺筋症の場合、月経量も非常に多くなります。 主な治療は薬物療法と手術です。薬物療法はピルや黄体ホルモンなどのホルモン剤による治療が中心になります。内膜症性のう胞が大きい場合や妊娠を希望している場合は、手術でのう腫を取り除きます。

卵巣嚢腫

良性の卵巣の腫れを卵巣嚢腫といいます。3~4センチの腫れであれば、定期的に超音波検査を行い、変化がなければ、治療は行わないことが多いですが、どんどん大きくなっていく場合や、腹痛などの症状がある場合は手術の対象になります。
卵巣が腫れているかどうかは、症状や触診では分からないことがほとんどです。中には、10センチを越える大きさになるまで気づかなかったり、突然の腹痛で発見される方もいますので、定期的な超音波検査で確認しておくことをおすすめします。

不妊でお悩みの方へ

不妊でお悩みの方へ

当院ではいくつかの不妊治療を実施していますが、大事なのはその方に合った適切な治療を行うことです。
そのため、当院ではまずしっかりと検査を行い、原因を明らかにしてから治療を行うようにしています。

早く治療を実施したいというお気持ちは分かりますが、しっかりと手順を追っていくことが一番の近道ですので、焦らず一緒に頑張っていきましょう。
なお、ほとんどの検査は保険適用です。

主な検査内容

基礎体温検査 基礎体温を記録していただき、排卵周期を確認します。
超音波検査 卵胞の発育・子宮内膜などの状態をみて、排卵日を予測します。
ホルモン検査 体内の女性ホルモンに異常がないかを調べます。
精液検査 精子の数や動きを調べます。

当院で行っている不妊治療

タイミング指導

タイミング指導

基礎体温表や経膣超音波検査などを用いて排卵日を予測し、性交渉を行う適切な時期をアドバイスさせていただきます。
初期段階で行う基礎的な検査で異常が認められなかった場合は、まずタイミング指導から始めていくことになります。

排卵誘発

排卵が起きにくい方や、卵胞の発育が悪い方には、内服薬や注射を用いて排卵を促す治療を行います。

人工授精

人工授精

精子の数が少ない場合や、タイミング指導をある程度続けても妊娠しない場合には、人工授精を行います。
当院では、排卵日に合わせて、男性の精子を人工的に女性の子宮の中に注入する方法を実施しています。
自費診療になり、料金は11,000円(税込)です。
※施設基準を満たさないため保険適用できません。
体外受精が必要な場合には、他の専門施設などを紹介させていただきます。

ミレーナについて

ミレーナは「ホルモン付加子宮内システム」のことです。T字型の小さな器具を子宮内に入れて使用します。柄の部分に「黄体ホルモン」が付加されており、子宮内に入れることによってこのホルモンが徐々に溶け出して子宮内膜に作用して薄い状態にしていきます。

どんな時に必要か
月経量が多い、月経痛がひどい方に治療効果があります。

ミレーナは子宮内に小さな器具を挿入するので、薬剤(ホルモン)の全身への影響がありません。

経腟分娩の経験がない方は、子宮の入り口が狭いために入らない場合や、入りにくかったり、入れる時に痛みが伴います。また、子宮筋腫や子宮腺筋症があり、子宮内の形の変形が強い場合は、ミレーナが入らない場合や、入ってもすぐにずれたり、抜けてしまうことがあります。


ミレーナの使用方法、使用期間
通常は月経4~7日目に挿入することが多く、外来で5分程度の処置で入れることが可能です。
1度挿入すれば5年間有効です。トラブルがなければ、5年間は入たままよいということです。
5年たって閉経していれば抜くだけになります。まだ閉経していなければ、5年たった時点で入れ替えます。

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